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最高裁判所第三小法廷 昭和46年(オ)679号 判決 1976年2月17日

主文

理由

上告代理人大友要助の上告理由第一点について

所論の点に関する原審の認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第二点、同第三点について

債権者が金銭債権担保のため債務者又は担保提供者(以下単に「債務者」という。)所有の不動産につき譲渡担保形式の契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば不動産は債務者に返還するが、弁済をしないときは右不動産を債務の弁済の代わりに確定的に自己の所有に帰させる旨を合意し、自己のため所有権移転登記を経由した場合であつても、債務者が弁済期に債務の弁済をしないときは、債権者は目的不動産を換価処分し又はこれを適正に評価することによつて具体化する換価金又は評価額から自己の債権額を差し引き、なお残額があるときは、これに相当する金銭を清算金として債務者に支払うことを要するのではあるが、右の担保目的実現の手段として債務者に対して目的不動産の明渡を求めることができるものであることは、当裁判所の判例(昭和四六年三月二五日第一小法廷判決・民集二五巻二号二〇八頁、昭和四九年一〇月二三日大法廷判決・民集二八巻七号一四七三頁)の趣旨とするところである。本件において、原審が、被上告人と上告人らとの間に本件建物につき原判示のごとき譲渡担保契約が締結されたことを認定したうえ、被上告人の上告人らに対する本件建物の明渡請求を認容すべきものと判断したのは、右と同趣旨と解することができ、その判断は正当として是認することができる。所論は、上告人らが原審において主張せず、かつ、原判決の認定しない事実に基づいて原判決を非難するものにすぎず、論旨は採用することができない。

(裁判長裁判官 江里口清雄 裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝 裁判官 高辻正己 裁判官 服部高顕)

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